物忘れと認知症には違いがある

物忘れは老化現象?

歳を取れば忘れっぽくなるのは当たり前、という認識は多くの人が持っています。そのため、高齢者は物忘れがあっても年のせいと片づけてしまうこともあります。記憶力については専門家の間でも見解に違いがあり、20代を境に記憶力は減退し始めて40代から60代では急激に下降するという説が定着していましたが、80代を超えても記憶力は衰えないという研究結果も発表されています。いずれの場合も、生活環境や脳の使用頻度によって個人差があるので、全ての人に当てはめるのは難しいです。ただ、加齢によって体の様々な機能の働きが劣化することは誰もが感じています。
 

物忘れをする理由

物忘れやうっかりは、日常生活では年齢に関係なく起こります。若く健康な人でも、一度も忘れ物をしたことがないという人はほとんどいません。脳には生まれてから過ごしてきた年齢までに体感した様々な情報が収納されています。そして、生活シーンにおいて必要な情報を取り出したり、照らし合わせたりしています。しかも、神経細胞が不必要と判断したものは無意識に忘れてしまうとも言われています。メガネをどこに置いたか忘れてしまうなどは、認知症とは違い、物忘れや度忘れなどです。頻繁に起こるとしても、自力で思い出したり、他人に言われて思い出せれば特に問題はありません。しかし、メガネを使っていること自体を忘れてしまうと、何らかの病気の可能性があります。せっかちな人にありがちなのが、注意力散漫で人の話を聞いていなかったために、大事なことを忘れてしまうということですが、これは、記憶力とは違います。
 

認知症は単なる物忘れとは違う

物忘れが頻繁になる、ひどくなる原因に認知症があります。認知症は脳の特定部分が萎縮することで起こる症状です。特徴的な症状は、最近の事象を忘れてしまう。新しいことが覚えられないという点にあります。たとえば、朝食のメニューを忘れてしまったり、酷くなると朝食を食べたことさえ忘れてしまうケースもあります。自分の家族の顔が判別できない、物の名前がわからなくなる、など日常生活に支障をきたすようになった場合には、脳の疾患の可能性があります。認知症は高齢者の病気として認識されていて、アルツハイマー型、レビー小体型などがありますが、若い人でも若年性の認知症があります。また、年齢に関係なく、脳や血管系の疾患や後遺症によって記憶力が低下することもあります。脳の疾患なので物忘れとは違いますが、早期発見・早期治療によって進行を緩やかにして、家族や周囲のサポートを受けながら自宅で日常生活を過ごしている人は少なくありません。